2022.01.19

ブログ

ダメ社員と見捨てず、信じて寄り添う

とある講座で、
対応の難しい受講生(以下「Aさん」とします)の
育成担当に就いています。

半年間ほどの講座で、
講義とは別に
受講生一人一人が
外部で実践経験を積む
カリキュラムになっており、
講師間で受講生を割り振って
個別に指導しています。

過去何人もの受講生を
受け持ってきましたが、
比較にならないほど
Aさんへの対応には
苦心しています。


この講座では、
厳愛の精神で
受講生の弱点や不足点を
忌憚なく指摘するのが
習わしとなっています。

忌憚なくとは言っても
各受講生のレベルや性格に合わせて
最も効果的と思われる形で
アドバイスしています。

しかし、なかなかうまく
受け入れてもらえないことも
多いのが事実。

講師からの指摘(アドバイス)に
反発してくる受講生も
少なくないのです。

今回のAさんも
そんな受講生の一人。


一つ指摘すれば
10の言い訳が返ってきます。
(決して大げさではなく。)

「そんなこと言われても無理です」
「頑張ってやったつもりです」
「これ以上どうしろと言うんですか」

そんな言葉が次々と口から出てきます。

意に反して強制受講させられている
研修ならまだしも、
自主的に学びに来たはずの講座で
いったい何を学ぼうとしているのでしょうか。

一時は受講を途中でやめると言いだして
事務局が必死でなだめたことも
あったようです。

「あの講師からこんなことを言われて
 むかつきました」
「腹が立ったので言い返してやりました」

といった社会人モラルに欠けた言葉も
平気で吐露してきます。

どうやら感情のコントロールが
うまくできないようです。

私が指導している最中も
感情の起伏が激しく、
ちょっとしたひと言で、
怒りだしたり
泣きだしたりするので
大変神経を使います。

その度になだめては
また別の伝え方を模索する
といったことが続きます。

Aさんは既に40代ですが、
報連相をしない、
メールに返信しないなど
お世辞にも
社会人としての基本やマナーが
身に付いているとは言えません。


これを、
Aさん本人の問題として
見捨てるのは簡単です。

途中で投げ出すのも
不満を言い続けるのも
本人の自由。

一社会人相手に
他人がとやかく言うことでは
ありません。


しかし、講師として
Aさんに「ダメ受講生」のレッテルを
貼ることだけはしてはならないと
考えています。

もしかすれば
Aさんは今まで「ダメ」のレッテルを
貼られ続けてきたのかもしれません。

過去、どこかのタイミングで
トラウマになるような出来事があり、
以降、周りからの指摘やアドバイスを
謙虚に受け止められなくなり、
「ダメ」のレッテルが貼られ、
それが自信喪失や他者不信につながる
悪循環に陥っているのかもしれません。

そのような悪循環は
断ち切ってやらねばなりません。

そのためにはまず
私自身がAさんを
信じ切ることが大事です。

最終課題をやり遂げるまで
Aさんの成長を信じて
あの手この手で叱咤激励を続けます。

Aさんに、
「最後までやり遂げた」
という自信と
「最後まで自分を支えてくれる人がいた」
という“他者を信頼する心”を
取り戻させてあげたいと思います。


あなたの周りにも、
「ダメ社員」や「問題社員」
のレッテルを貼られている人が
いるかもしれません。

もしいるのであれば
今すぐそのレッテルを剥がしてください。

思い込みや先入観をなくし
その人の成長の可能性を信じれば
その人はきっと輝いていきます。


この記事を書いている途中で
Aさんから電話がありました。

講座の課題とはまったく関係なく、
Aさんが抱えている仕事で
重大なトラブルが発生しており、
どうしたらいいかという
悩みの相談でした。

他に相談できる相手が見つからず、
今まで途方に暮れていたのでしょう。
信頼できる相談相手として
私に心を開いてくれたことが、
私としては嬉しく感じました。

Aさんが悪循環から抜け出し、
好循環の道を歩み始めるきっかけに
なっているのであれば
これほど嬉しいことはありません。

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